BEAUTY

女性のQOLを美容+人材育成で
豊かに【東南アジア・美容ルポ】

yukiishihara
Written by yukiishihara

「神々の棲む島」とも呼ばれている、インドネシア・バリ島。

ホテルの庭から海を臨みながら「バリ島が大好きで、ウェディングもここでしたんです」と話してくれた、東京・中央区でトータルビューティサロン『Grand~dua(グランドゥア)』を経営する、藤井愛子さん。

インドネシア屈指のリゾート地であるバリ島に魅せられて、いつかこの地に貢献をしよう!
日本ならではの高い技術や製品の魅力をインドネシアにも伝えたいと思い、美容プロジェクトをスタートしました。

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すべての女性が、美の力で個性を発揮し、
自信を持ってほしいという願い

『Grand~dua 美容プロジェクト』では、美容のパワーで、発展途上国に暮らす女性たちのクオリティ・オブ・ライフ(QOL ※1)を向上させ、自信を持って生きていけるきっかけ作りを目指しています。

プロジェクトを先導するのが、インターナショナルビューティコンサルタントの小笠原 彩さん。ヘアメイクアップアーティストとして10年以上にわたり、ロンドン・ニューヨークの異なる文化や人種の中で、多くのファッションショーや雑誌・広告などでメイクアップを手掛けてきました。 たくさんの華やかなショーや雑誌の撮影現場でメイクアップを担当することは、多くのヘアメイクアップアーティストの憧れであり、刺激とやりがいに満ちあふれていました。しかし、「商業的で自己満足に陥っているのではないか。自分の行っていることの意味を、この先見出せるのか」という思いも、同時に感じていたと言います。

「ロンドン在住時に旅行で初めてバリを訪れたとき、路地裏で女性たちが子どもを抱えながら、ぎゅうぎゅうのバスに乗っていたのを見て、ここでは先進国とは違って女性が活躍できる場がないのではないか? と感じました。自分は彼女たちと同じ女性だけれど、仕事でやりがいや喜びを得て、成長できたと自信を持って言えます。ここでも手に職をつけることで、女性が活躍できるのではないかと感じ、そのような手伝いをしたいと思いました。ショーや撮影現場で仕事をしながら、そんな気持ちを温めていたんです」

昨年、活動の場を東京に移し、コンサルタント業務を本格的にスタートし、美しくなることの喜びを広く伝えるべく、東南アジアでの美容プロジェクトに着手しました。

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※1. 個人の人生の質や社会的にみた生活の質のこと。人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているかを尺度としてとらえる概念。

 

古いものと新しいものが混在する、
インドネシア・バリ島の現在

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バリの街を歩いていると、人々が伝統文化を守りながら暮らしているなかに、近代化の波が押し寄せていることを、ひしひしと感じます。昔ながらの暮らしに近代的なものがどんどん入り、人々の暮らしは確実に先進国に近づいています。

バリ島在住のビジネス&リーガルコンサルタントの方によると、金銭的に余裕のあるローカルの人々がどんどん増えているとのこと。 「日本の成人式のようなイベントが、バリでは17歳であるのですが、娘の通う高校でも、卒業時式の後のプロム(※2)では、ヴィラを借りて盛大なパーティをしています。スマートフォンの普及なども含め、ここ10~20年で急に欧米化が進んできていますよね。観光客や他の国からの移住者も多い場所なので、一部はジャカルタよりもインターナショナルな環境のように思いますし、インターナショナル化が今後も進むと思います」と、話します。

しかし、そのぶん、バリ島の貧富の格差は日本とは比べものにならない程すさまじく、新旧、貧富が、いたるところでごちゃ混ぜになっているようです。宗教は、インドネシア全体でみると約9割がイスラム教ですが、バリ島はバリで独自に進化したバリ・ヒンドゥー教を信仰している方がほとんどという、インドネシア国内でみても特殊な状況となっています。

※2.アメリカやカナダの高校で、学年の最後に開かれるフォーマルなダンスパーティー

 

発展を続ける、インドネシアの美容市場

実際に、飽和しつつある日本の容市場とは対象的に、インドネシアの美容市場は毎年10-15%の成長率で急成長しているとも言われています。その背景には、平均年齢29歳という、とても若い人口と、世界第4位の2.5億人にも上る巨大マーケットがあります。 現在は、インドネシアの女性向けの美容キュレーションサイトなども存在しているなど、インドネシアの美容市場は、これからさらなる発展が期待されると感じます。(※3)

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※3.出典:日経BizGate http://bizgate.nikkei.co.jp/article/96090221.html

 

バリ島で、いくつもの現地サロンを訪れ、
交渉やデモンストレーションを

『Grand~dua 美容プロジェクト』のメンバーは、バリ島滞在中、クタ・スミニャック・サヌールなど、現地の美容サロンで、ネイルやエクステ技術のデモンストレーションを行い、同時に各サロンのオーナーと、これからの展開についてミーティングを行います。

スミニャックの『The Shampoo Lounge』では、現地のサロンスタッフが食い入るように施術を見ています。

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極細のネイルアートブラシの性能や、UVライトにいれて固めるまで何度でも色やデザインを変更できる日本製ジェルの使いやすさなどに驚いていたのが印象的でした。

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これから他の土地にもサロンをオープンするというオーナーのShierley Kovalさんも、「日本の高い技術を取り入れて、お客様にもっと満足してもらいたい」と話していました。

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今回訪れた、どのサロンも大変に勉強熱心で、オーナーが自らまつ毛エクステの施術を受けたり、「どうやってオフするの?」など質問が続出したり、デザインの技術だけでなく、オフのスピーディさ、爪やまつ毛を傷めない処方など、日本の高い美容技術に興味津々でした。

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地域に寄り添いながら、
日本の美容技術を伝えるということ

「“発展途上国”への支援という響きから、ともすると、日本の製品や技術を押し付けることになってしまう。でも、それでは本当の支援にはならない。上から目線ではなく、地域の状況をよく見て、無理のない形で地域に根差していくべきと、スタッフと何度も確認しあっています」 彩さんと愛子さんは語ります。 また、日本の技術者も、実際にデモンストレーションを行い、多くの人に新しい技術を伝えたことで、自信が持てたと話すのが印象的でした。

ネイリストの長尾友美子さんは、「自分たちが普段当たり前に行っていた技術に、こんなに感動してくれる人がいるということに、私たちも感激しました。技術によってその場の雰囲気が変わってみんなが笑顔になっていく姿を見て、とても嬉しく、自分たちの仕事に誇りを持てました」と語ります。

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プロジェクトのスタート時にも視察でバリ島に訪れた彩さんは、こう話します。

「技術がインドネシアにまで届くことがあっても、それはジャカルタまでで、バリ島にまでは届かないことも多いんですよ。しかし、国内で質の高い技術を教えるのは困難なのであれば、日本から専門の技術者を派遣して美容スクールを開設したり、現地の美容サロンで質の高い技術を伝えていくことができます。まだ国内でできることには限界があるからこそ、私たちが現地を訪れる意味があるんです」

 

今後の美容業界を支える若い技術者に、
広い視野を持ってほしい

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今後、日本の美容業界は、どんどんグローバルな要素が必要になっていくことが予想されていますが、この美容プロジェクトの特筆すべきところは、バリ島の人々だけでなく、日本の美容技術者にとっても素晴らしい経験となること。

オーナーの愛子さんがプロジェクトに注力する背景には、日本の美容業界が恵まれすぎていて、外を見ようとしない流れになりつつあることを危惧し、今の状況を変えていきたいという思いもあったそうです。

また、スタッフの育成について、こう語ります。

「サロンをオープンした当初から、スタッフには日々の仕事に向き合うことと同時に、様々な角度から人間力をつけていけるよう指導をしてきました。スタッフひとりひとりが豊かに輝けば、それをお客様に還元できますし、個々の可能性を広げていくことができるのだと思います。バリ島への海外研修を通して、現地の方々の考え・生活・美容意識など様々なことを学び、グローバル人材を育成していきたいと考えています。そして、将来的には日本の美容学校のカリキュラムで、海外に美容技術を届けられるプログラムを作りたいですね。日本の若い美容技術者たちみんなに、技術力と人間力、そして発信力を身に着けてほしいと考えています!」

これから『Grand~dua』の海外研修制度をさらに発展させ、今回のように現地の方々とふれあい、信頼を構築できる研修プランを定期的に行い、グローバル人材の発掘・育成を行っていくそうです。

日本とインドネシアの懸け橋となる、
美容のプラットフォーム作りを!

今回の取材を通して、技術の向上だけにとどまらず、つねに広いビジョンで様々なことにチャレンジできる人であることは、これからの美容技術者にとって、不可欠であるように感じました。

インターナショナルビューティコンサルタントの彩さんを主導に、現在は、他の企業とのコラボレーション事業も進んでいるとのこと。

美容においても、まさに発展の過渡期にいるインドネシアの人々ですが、プロジェクト支援のリターンとなるのは、まず現地の人々の雇用の創出であり、同時に日本の美容技術者のグローバル人材の育成であり、そして美意識の高いローカルのお客様や、バリ島に魅せられて訪れるゲストの笑顔です。

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「キレイをもっと楽しみたい!」―そういった女性の万国共通の願いを叶えられる美容を通じた途上国支援の形、今後もレポートしていきます。

 

<取材協力>
●『Grand~dua(グランドゥア)』
http://grand-dua.jp/ ネイル・ヘッドスパ・まつ毛エクステ・フェイシャル・ボディ&フットマッサージなど、美容施術をトータルで受けられる、落ち着いた内装のラグジュアリーなサロン。ビル1Fには完全予約制のトリミングサロンが併設されているので、施術中にワンちゃんも一緒にケアが可能。

●藤井愛子(ふじい・あいこ)
東京とロンドン(サロン、ブライダル、BBCなどのT.V.、映画、ファッション誌)に拠点を置くヘアメイクアップアーティストとして成功を収めた後、東京でヘアメイクスクールインストラクターとして、美容業界に多くの学生を送り込んだ実績を持つ。美容業界20年の経歴を活かし、2007年に『Grand~dua(グランドゥア)』をオープン。また2010年には、気軽に入れる街のレストランバー『Arluis(アールイズ)』をスタート。ご主人がオーナーシェフとなる。2014年にはドッグトリミングエステサロン『Grand-spa(グランド・スパ)』も始める。2016年夏、『Duexs co,.ltd』として法人化。その後、美容業界を牽引するアーティストである武田雅俊氏・新井徹氏とタッグを組み、『Grand-dua Aoyama(グランドゥア青山)』を出店。さらに、オーガニック・自家製・マクロビティックをキーワードにオリジナリティーを加えたスムージーや食事、スイーツのカフェバー『Grand-enak(グランド・エナ)』を日本橋にオープン。経営者として、一児の母としても多忙な日々を送る。

●小笠原彩(おがさわら・あや)
メイクアップアーティスト/ビューティープロデューサー/コンサルタント
日本で活動後、渡英。メイクの英国国家認定資格、特殊メイク技術の資格を取得。英国、NYを中心に、「Georgio Armani」「Victoria Secret」のショーや広告、「ELLE」「VOGUEなどの雑誌にメイクアップアーティストとして携わる。並行して講演等も行う。帰国後、流行を生み出す最前線の現場で国内外の化粧品を使いつくした経験を活かし大手化粧品ブランドの監修(コンセプト立案、企画、色・質感の提案等)、海外での美容技術・人材育成コンサルティング、ハリウッド女優の美容アドバイザーなど、活動の幅を広げている。

 

interview,text,photo : Yuki Ishihara

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